損失ばかり?GPIFの運用状況について/運用額とポートフォリオの妥当性

  • 2019年3月2日
  • 2019年3月18日
  • 投資

よくニュースでGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が年金運用で何10兆円の損失を出した等、報道されることがあり、それに対し、

  • 「人の金を勝手に運用したうえに、さらに損失を出すとは何事だ。」
  • 「自分たちの年金は運用失敗でどんどん目減りしていく」
  • 「利益が出ているといっても所詮含み益では何の意味もない」

等の意見が散見されますが、それって本当に正しいのでしょうか?報道に踊らされているのではないでしょうか?今回は、今一度よく考えてみたいと思います。

人の金で勝手に運用してるという誤解

この疑問については明確な回答があります。GPIFが年金を運用するというのは、国民年金法によって決まっています。ですので、勝手に運用しているといってGPIFを批判することはお門違いなのです。仮に批判するのであればその法律を制定した政治を批判すべきなのです。

では、次に肝心のGPIFの運用について説明します。

GPIFのポートフォリオとは?

では、実際にGPIFのポートフォリオを見てみましょう。

GPIFのポートフォリオ(保有銘柄数:日本株2321銘柄、外国株2793銘柄)

GPIFポートフォリオ 債権 株式 比率 アセットアロケーション

債券と株式がちょうど半分ずつの構成です。保有銘柄数的にも充分に分散の効いたポートフォリオです。

それもそのはずGPIFの理念として、安全かつ効率的に運用すると掲げられています。長期運用だからといって株式比率を高くするとリスキーになるので、ほどよく債券をいれてリスクを分散しています。このポートフォリオは一般の方も参考になると思います。

では、肝心の運用益はどうなのでしょうか?損失を出しているのでしょうか?

GPIFの運用は赤字ではなく黒字

GPIF運用実績 年率 黒字 赤字

2018年度の報告では、運用額は132兆円、そのうち56.7兆円が運用益です。つまり、含み益が約40%です。仮に運用しなければ約80兆ぐらいしかないわけですので、現時点では運用して大正解と言えます。平均年率も2.73%のリターンがあるのですから優秀です。

この時期は、リーマンショックもはさんでいる時期です。一般投資家の中でも約20年、暴落の時期もはさんで、年率3%のパフォーマンスを続けられる人ってなかなかいません。そういう意味でもGPIFの運用結果はかなり良いと私は感じています。

GPIFのポートフォリオが素晴らしい理由

特筆すべきなのは2008年から9年にかけて起こったリーマンショックの時のパフォーマンスなのですが、その時でもー5%までの下落に抑えられている点です。日経平均株価はリーマンショック時に40%以上下落しているわけですから、このGPIFのポートフォリオは株価暴落時にも充分の強さを発揮したといえます。つまり、かなりディフェンシブで手堅い運用方法なのです。

よくリーマンショック時の暴落をシミュレーションした結果、暴落時にも対応できる最適なポートフォリオがあると主張される方もいらっしゃいますが、シミュレーションでいい結果が出るのは当たり前です。なぜなら、この場合リーマンショック時にいかに損失を抑えられるかを考えてシミュレーションされているわけですから。

つまり、GPIFのポートフォリオが有能な点は「リーマンショックのような金融危機があると予測していなかったにも関わらず損失をかなり抑えられることができた」という点です。

避難訓練は災害が来た時のために適切な対応をできるようしておくために訓練します。シミュレーションというのはいわば避難訓練なのです。災害が来てもいいように対応しているけれど、次の災害が来た時に対応できるとは限らないのです。

しかし、GPIFは突然来た災害にすでに対応できています。ということは次の災害があった際に適切な対応をできる可能性が高いと考えられます。

以上のように、リーマンショックという未曽有の金融危機をうまく乗り越えた実績がある。という点も加えるとGPIFの運用は素晴らしいといえるのです。

GPIFの優れた統合報告書から読み解く

GPIFはまた、非常にわかりやすい統合報告書をアップされています。そこから読み解かれる情報としてまず目に付いたのが、管理運用手数料の安さです。

2017年度の管理運用手数料がHPにアップされていますが、総額487億円でした。これを見た方は正直めちゃくちゃ高いと思いませんでしたか?この数値だけだと、人のお金で飯食ってるんかいなと批判が聞こえてきそうです。

しかし、これは運用資産に対した割合だとわずか0.03%です。実はこれってかなり安いです。

投資信託の中でも信託報酬が極めて安いと言われる三菱UFJ国際投信が運用するeMaxis slimシリーズで一番安いものでも0.11%とかですから、それより3倍以上安いです。

もちろん運用額が比べ物にならないほど巨額なので、その分コストを抑えられるといえばそれまでですが、民間でもさすがに0.03%の信託報酬はあり得ないです。それぐらい安いコストで運用されている訳です。

※かかった経費のうち、GPIFは役員の報酬も開示しています。ご興味がある方はご覧になってください。


ここで、話は変わりますが、GPIFの運用額は132兆円というとてつもない金額です。資産の半分を株式で持っているわけですから、もちろん配当金や株主優待もあります。では、その配当金や株主優待はどうしているのでしょうか?まさかGPIFが懐にでも入れているのでしょうか?

GPIFの配当金、株主優待の使い道

結論から言うと、配当金は資産に組み入れ、株主優待は売れるものは売って再投資する。ひとまず安心です。当たり前ですが、懐に入れたりはしていませんでした。

金券類など売却できるものは売却して、これを配当金と同じように運用額に再投資してに組み込んでいるうです。また、換金が難しい生活雑貨は寄付できるものはして、寄付が難しい生鮮食品類は基本的に処分されているそうです。生鮮食品ぐらい処分しなくても食べたら良いと思うんですけどね。捨てるのももったいないですし、何より廃棄にもお金がかかります。

実はこの上記した株主優待の取扱い方は、投資信託の運用会社も同じようにされているそうです。要するに預かったお金を運用して得た利益(優待)は、いかなる場合も受け取ってはいけないという考え方なのだと思います。

GPIFの運用は好調であるが、所詮含み益

ここまではGPIFは人の金を勝手に運用しているのではないか?GPIFの運用がうまくいっていないのではないか?などに対する批判は全くのお門違いだと私は主張しました。

しかし、GPIFに対し、まだよくある批判のひとつとして、利益がでているとはいえ所詮含み益ではないかという批判があります。この批判に関しては確かに一考の余地があると私も感じています。

繰り返しになりますが、今のGPIFの運用額は132超円、うち含み益が56.7兆円です。40%以上が含み益です。仮にこれを売るとなると、当然株価は下がります。しかし、どれぐらい下がるのかはわかりません。

私の予想は、さすがに40%も含み益があるのだから、それが損失になるほどは下がらないとは思います。ただ怖いのは、GPIFが売るとなれば他の投資家も売る可能性が大いにあります他の投資家が売れば、株価は下がり、下がればまた別の投資家が売る。俗にいう「売りが売りを呼ぶ」という状況になり、株価が暴落するでしょう。

しかし、私はこのようなことは起こり難いと考えます。というのも、GPIFは年金を運用している訳ですので、必要な分を必要な分だけ利確します。ですので、一度に大量に売るということは考えにくいので、売りが売りを呼ぶような状況は起こらないだろうと楽観的に考えています。

結論 理念通り安全かつ効率的に運用されている

私たちが日々支払っている年金積立は、ディフェンシブでかつ効率的に運用されています。そしてその運用状況については、いち投資家からみてもそのパフォーマンスは優れています。

そしてこのGPIFのポートフォリオは今の時代は一般人でも簡単に投資信託で再現できます。

GPIFのポートフォリオでは国内債券35%:国内株式25%:外国株式25%:外国債券15%となっています。

これに近いものとして、私のおすすめする投資信託ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)では国内債券25%:国内株式25%:外国株式25%:外国債券25%と、債券の比率はやや違いますが、かなり優秀です。


ご興味があればリンク先で紹介していますので、ご覧になってください。

https://zank0309.net/syoshinsya-toushin/


話を戻しますが、GPIFはまた運用状況も素人がみてもわかりやすいように作成されています。ご興味がおありの方は一度確認されてみてください。報道に惑わされることなく、一次情報を確認するというのはかなり大事なことです。

最後に一言言っておきたいのですが、決して私はGPIFの回し者ではありません。GPIFの運用方針と運用結果を見たところ、単純に良い運用をしていると思い、この記事を書いただけです。

以上、長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

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