個人型確定拠出年金(IDECO)加入者はすでに100万人を突破したそうで、年々加入者は増えてきているそうです。
私もIDECOに加入していますが、加入した理由は以下の3点からです。
- 老後資金はIDECOに加入しようがしまいが貯めておく必要がある
- どうせ老後資金は株を中心に運用する予定なので、それならば運用益が非課税である方がメリットが大きい
- 掛金が全額所得控除になる
実際にIDECOに加入された方も私と同じような理由からじゃないでしょうか。ちなみにIDECOには定期預金もありますので、運用されない方でも所得控除の恩恵を受けることができます。
さてここで話は変わり本題ですが、どうせIDECOをするのであればできるだけ効率的に運用したいと誰しもが思うはずです。
そしてIDECOにはNISAや通常の株式投資にはないさまざまな手数料があります。
この手数料をできるだけ抑えて効率良く投資する方法について今回は考察してみます。
IDECOにかかる各種手数料と口座運営管理手数料は節約できる
IDECOには加入時にかかる2777円の手数料の他、(口座)運営管理手数料がかかります。
この運営管理手数料が証券会社によって異なりますが、だいたい有名どころの大手証券会社(マネックス・SBI・楽天・野村・大和・みずほ証券など)は積立を行う月は167円、行わない月は64円かかるようです。
加入時の2777円は一時的なものですので、仕方ないにしても、この運営管理手数料は毎月かかってくるため、ここはどうにか節約することができそうです。
むしろここを節約して、できるだけ効率良く運用することを目指すのがインデックス投資家たるものだと考えています。
IDECOにかかる口座運営管理手数料は無視できないコストである
この運営管理手数料は毎月かかってくるというのが曲者です。
拠出額は人によって異なるのですが、私の場合は月額12000円積立していますので、運営管理手数料が購入費12000円に対して167円かかってきますので、毎月購入のたびに1.4%の手数料がかかっていることと同じになります。
私は拠出限度額が月12000円なので、手数料の割合が多くなっているかもしれませんので、ごく平均的なモデルケースについても調べてみようと思います。
ちなみにIDECOの拠出限度額は下表のようになっています。

そして、拠出額平均は月16000円程度だそうです。

拠出額平均が月16000円なので、この値を使ってこれに対し運営管理手数料が167円かかるとして試算すると、約1%の手数料がかかっていることになります。
これはかなり大きいですね。今は購入手数料無料の投資信託も珍しくない状況ですので、これはどう考えても決して無視できないコストであると言えます。
IDECOの年単位拠出を利用して運営管理手数料を安くしよう
では、運営管理手数料を安くするにはどうしたら良いのでしょうか。
それは、IDECOの拠出方法を変えることです。
IDECOは2018年から毎月払う「月払い」だけでなく、「年単位拠出」が可能となりました。
年単位拠出とは、IDECOの支払金額を年単位で考え、年間の掛金限度額までなら月単位で自由に設定することができるという制度です。
具体例を出すと、私の場合は月12000円が限度なので、年間144000円がIDECOの年間掛金限度額です。
つまり、この144000円を指定した月に分割して引き落とせる制度で、個人が各々拠出限度額内で1年間の間自由に積立額を設定できる制度です。
例えば、1月は積み立てない代わりに2月に24000円積み立てたり、極端な話、12月に一度に144000円拠出することも可能です。
ただし、前払いはできないので、拠出限度額は当月分+経過した月の限度額ということになります。
運営管理手数料は積立を行う月は167円、行わない月は64円ですので、支払い回数を少なくすることで運営管理手数料を節約することができます。
IDECOの運営管理手数料の節約方法として年一回拠出が最適ではない理油
ここで、最適な節約方法を解説します。
積立を行わない月の方が103円手数料が安いので、年一回拠出が最も節約になるかと思われるかもしれませんが、それは違います。
なぜならば、IEDCOの年単位拠出は前払いができないために、年一回拠出の場合は投資できない期間が生じることによる機会損失があるからです。
年一回拠出の場合は、必然的に12月に拠出することになりますので、1月、2月に拠出した人と比べ、株価上昇の恩恵に預かれないということになります。
株式の期待リターンは日本株で過去のデータからだいたい4~5%程度、米国株は6~7%程度と言われています。
つまり、投資する時期は早ければ早いほど良いのです。
拠出限度額別IDECOの運営管理手数料の最適な節約方法
ではここから拠出限度額別の最適な支払方法について考察していきます。
前提条件としてIDECOのポートフォリオの年間期待リターンが6%の場合と仮定して検証します。
年間リターンが6%とすると月別期待リターンは0.5%になりますので、この数値を用いて計算します。
IDECO拠出限度額12000円の場合は年6回拠出が最適
積立を行う月と行わない月の差額が103円ですので、毎月積み立てですと積立額に対し、12000円に対し、約0.86%手数料がかかる計算になりますので、
月別期待リターン0.5%よりも手数料の方が多くなるので、毎月拠出は非効率的となります。
仮に1月に積み立てなしで、2月に24000円積み立てたとすると、1月の手数料は24000円に対し、約0.43%の手数料なので、手数料よりも月別リターンの方が大きくなります。
よって、12000円積み立ての場合は年6回拠出、要するに隔月ごとに24000円積み立てる方法が最適となります。
IDECO拠出額別、最適拠出回数一覧
これと同様にさまざまなケースについて試算していき、試算した結果がこちらです。

※仮に定期預金の場合は拠出額に限らず、期待リターンが0%となり、年1回拠出が最適拠出回数となります。
まとめ IDECOの拠出回数はたいていの人は見直した方が良い/拠出回数の変更は時給数万円の簡単な作業
これまでのIDECOの拠出回数をどうすれば最も効率よくできるかについて書いてきましたが、IDECOのポートフォリオの年間リターンはせいぜい高くても6%程度だと思うので、拠出額20000円以下で毎月拠出している人は拠出回数を見直した方がよいと言えます。
拠出回数を見直すことで節約できるのは、仮に年間期待リターン6%、12000円、年12回拠出から年6回拠出に変更した場合でもざっと300円程度ですので決して大きくありませんが、仮に30年間積み立てるとすれば、複利の力が働き、約25000円の違いになります。
支払方法変更手続きはIDECOの運用をしている証券会社に問い合わせて、書類を取り寄せ、必要事項を記入して返送するというひと手間がかかりますが、トータルで1時間もかかりません。
仮に1時間かかったとしてもIDECOの支払方法を変更するだけで時給25000円のお仕事です。
私はこのシミュレーション計算後、すぐに支払方法を年6回拠出に変更しました。これで約30年後に25000円ゲットです。
無事60歳を迎え、IDECOのお金を受け取った時、この節約した25000円で還暦祝いに家族で豪華な食事に行くことにしたいと思います。
以下関連記事です。
IDECOは60歳からしか引出できませんが、65歳まで生きられるのはだいたい10人に1人だそうです。せっかくIDECOを積み立てて老後に備えても早死にしては意味がありません。健康以外の事にも気を付けましょう。
長生きのために健康に気を使うよりも、車の運転・入浴・精神状態に気を付けろ
適切に投資をすることは資産を増やすだけではなく、資産を守る意味もあります。